法定後見のデメリット
報酬負担
ご本人の財産が多かったり、親族間で争いがある場合は、弁護士・司法書士などの専門職後見人が選ばれる可能性が高いです。
専門職後見人がついてしまうと、その報酬がご本人の財産から支払われることになります。
後見人はご本人が亡くなるか、判断能力が回復しない限りついたままですので、基本的にはずっと報酬が発生することになります。
仮に月3万円だったとしても1年で36万円、10年で360万円となります。
なお、親族が後見人になれたとしても、後見監督人をつけられてしまうと、この後見監督人の報酬が発生します。
相続税対策・資産活用はできない
前述しましたが、成年後見制度はご本人の財産を守る制度です。
相続税対策や資産活用はできません。
自社株式の議決権の問題
中小企業の経営者(株主)が認知症になって判断能力が無くなった場合を考えてみます。
会社の重要な決定は、株主総会の決議で決めます。
その会社の株式100%を持っている経営者(株主)が認知症になってしまったらどうなるでしょう?
まず、株主総会ができませんので、会社の重要な決定ができずに、経営に支障が出ます。
それでは、後見を申し立てて成年後見人をつければよいでしょうか?
財産が多かったり、親族間で争いがある場合、家庭裁判所は弁護士・司法書士などの専門職後見人をつける可能性が高いです。
それでは、部外者である専門職後見人に株式の議決権行使ができるでしょうか?
専門職後見人は会社の内情には詳しくありませんので、困ってしまうのではないでしょうか。
また、ご家族が成年後見人になれたとしても、成年後見制度はご本人のためにご本人の財産を守る制度です。
議決権の行使も後見人が自由に行ってよいという訳ではありません。
成年後見人の行使する議決権は暫定的・保全的な範囲になってしまうのではないかと思われます。
遺産分割協議をする場合は法定相続分を確保
ご本人が誰かの相続人になったとき、相続手続は成年後見人が代理して行います。
ご本人の代わりに成年後見人が遺産分割協議をすることになります。
注意しなくてはいけないのが、成年後見人はご本人が本来もらえる法定相続分相当額を下回る遺産分割協議は基本的にできないということです。
法定相続分を下回るのは、ご本人にとって不利になります。
この様な遺産分割協議はできません。
これをどうにかしたい場合は、亡くなった人が生前に遺言書を作成しておく必要があります。
なお、遺言書の内容がご本人の遺留分を侵害する場合は、後見人は遺留分減殺請求をしなければなりません。
財産構成を変えられる可能性
成年後見人は、ご本人の財産構成を変えてしまう可能性があります。
その結果、ご本人が遺言書を作っていた場合、遺言書に込めた願いを実現できない可能性があります。
例えば、遺言書に「A銀行の預金は長男、B銀行の預金は二男に相続させる」旨を記載していたとします。
成年後見人が遺言書の存在に気づかずに、A銀行の預金を下ろしてしまう可能性もあるのです。
成年後見人が、ペイオフ対策や、店舗・ATMが近くにないとかの理由で、ご本人の預金を別の銀行に移すことは十分にあり得ます。
上記の例で、A銀行の預金が0円になってしまうと、いざ相続が始まったときに長男の相続する預金がなくなっているという話になります。
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