法定後見のデメリット その1

目次

成年後見人に禁止されていること

さいたま家庭裁判所が作成した「後見申立の手引き」を見てみます。

「後見申立の手引き」には次のように書いてあります。

本人の財産を投機的に運用することや自らのために使用すること、親族などに贈与・貸付けをすることなどは、原則として認められません

相続税対策を目的とした贈与やアパート建築等についても同様です。

成年後見制度は本人の財産を保護するためのものであり、推定相続人の利益を図るための制度ではないからです。

以上のとおり、法定後見を申し立ててからといって、ご本人の財産を後見人が好き勝手にできる訳ではないのです。

資産活用はできません。

預貯金で持っていたものは、そのまま預貯金で管理するという事になります。

また、相続税対策もご本人の利益にはなりません。

将来の相続人のためのものですから、後見制度の枠組みではできないのです。

法定後見のデメリット

法定後見のデメリットを挙げていきます。

多くのケースで後見になってしまう

まずは、多くのケースで「後見」になってしまいます。

法定後見には「後見」「保佐」「補助」という3類型があり、「後見」が最も重度のものということになります。

どの類型で申し立てをするかは、医師の診断書によります。

この診断書が「後見相当」で書かれることが多いのです。

また、ご本人の家族の希望によって、「後見相当」にしてしまうこともあるようです。

後見人等の立場からすれば、「保佐」だと同意権しかありませんから、ご本人も色々手続きをしなければなりません。

「後見」で代理権ももらった方が、後見人が全部手続きできてしまいますから楽なのです。

こんな事情もあり、法定後見を申し立てると、「後見」になる割合が高いです。

資格や地位の喪失

成年被後見人や被保佐人になると、法律で資格や地位が制限されてしまうことがあります。

例えば医師や税理士などになる資格は、成年被後見人や被保佐人にはありません。

また、会社の取締役や監査役も成年被後見人や被保佐人はなれません。

公務員も成年被後見人や被保佐人の場合はなれませんので、失職してしまいます。

後見人を決めるのは家庭裁判所

法定後見の場合、最終的に誰を後見人等にするのか決めるのは家庭裁判所です。

申立の際に、後見人候補者として親族を挙げておくことはできますが、絶対にその人が選ばれるかどうかは分かりません。

ご本人に財産が多かったり、親族間に争いがあると家庭裁判所は弁護士・司法書士などの専門職後見人を選びます。

専門職後見人がつけば、基本的にはご本人が亡くなるまで、その専門職後見人の報酬がかかってしまいます。

老後の生活や介護を後見人が決めてしまう

老後の生活や介護などをどうするかについては、最終的には後見人が決めます。

すると、親族ではなくて家庭裁判所の決めた専門職後見人がこれらを決めてしまう可能性があるのです。

老後の生活を、自宅で送るのか施設で送るのか、自分が認知症等で意思表示ができないとすれば、後見人が決めるしかありません。

専門職後見人は判断能力が低下してから選ばれますので、自分がしっかりしているうちに希望を伝えておくということは不可能です。

また、施設のグレードなども最終的には後見人が決めてしまいます。

例えば、かなりの資産家でお金があり、自分に判断能力が無くなった際は、最高級グレードの施設に入りたいと思っていたとしても、いざ、判断能力が無くなれば、家庭裁判所の決めた専門職後見人が施設も選んでしまいます。

ご自身の希望がかなえられるかは分かりません。

配偶者への扶養が制限されるかも?

成年被後見人になっても配偶者などへの扶養料の支出はできます。

ただ、その金額は成年後見人が妥当と思う金額になってしまうわけです。

例えば、お金持ちで以前は月50万円の生活費を妻に渡していたとします。

判断能力が無くなって専門職後見人がついたら、妻への生活費は月5万円しか払えませんと言われる可能性も否定できません。

色々なことに家庭裁判所が口を出してくる

二世帯住宅の建設、リフォーム、不動産の売却などに家庭裁判所は口を出してきます。

「本当に、このリフォームは必要なのですか?」などと言って、色々な資料の提出を求めてきます。

二世帯住宅の建設でも、全額をご本人の財産から支出することは、あまり認めないのではないかと思います。

結局、ご本人の財産をなるべく使わない方向になっていってしまいます。

16.法定後見のデメリット その2



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