前妻との子も相続人
Aさんに現在、妻(Bさん)と子(Cさん)がいるとします。
しかし、Aさんは再婚で、昔離婚した前妻がいます。
前妻とは既に離婚していますので、Aさんが亡くなったとしても、前妻はAさんの相続人ではありません。
それでは、Aさんと前妻との間に子ども・Dさんがいたらどうでしょうか?
Aさんの相続人には、前妻との子・Dさんも入ってきます。
前妻との子と、現在の妻子に面識がないとしたら
Aさんの妻・Bさんと子・Cさんが、前妻との子であるDさんと面識がないとしたら将来どうなるでしょうか?
Aさんの相続が発生し、いざ、自宅不動産の名義を妻・Bさんに変えようとしたら、前妻との子・Dさんも遺産分割協議に参加して、同意してもらわなければなりません。
Dさんの連絡先すら把握していなければ、非常に大変な思いをすることになります。
そして、Dさんと連絡がついたとしても、遺産分割協議での話し合いがまとまらなければ、家庭裁判所を使った遺産分割調停をする必要が出てくるかもしれません。
なお、上記の例では、Dさんの法定相続分は4分の1ですから、Dさんとしては、相続財産の4分の1相当額は主張できる訳です。
生前に遺言書を作っておくことで対応
上記の例で、Aさんが、生前に遺言書を作っておけば、Aさんが亡くなった後に遺産分割協議で苦労すること避けられたでしょう。
Aさんが生前に「自宅不動産を妻であるBさんに相続させる」という内容の遺言書を作っておけば、Aさんが亡くなった後、遺言書を使って不動産をBさん名義に変更できます。
遺言書には自分で書く自筆証書遺言というものがありますが、形式を間違えると無効な遺言書となってしまいます。
万が一、無効な遺言となってしまっては、結局、遺産分割協議が必要となってしまいます。
公証役場で作成する公正証書遺言なら形式を間違えて無効になってしまうのを防げます。
なお、Aさんが作る遺言書では、前妻との子・Dさんにも遺留分相当額の財産を相続させる内容にしておいた方が良いと思われます。
上記の例では、Dさんの遺留分は8分の1です。
8分の1相当額の金銭等を相続させる内容にしておけば、将来Dさんが遺留分の侵害を主張することもないでしょう。
遺言執行者は専門家に依頼した方が良い
上記の例では遺言執行者は専門家を指定した方が良いかと思われます。
基本的には、遺言執行者に親族を指定しておくこともできますが、遺言執行者は財産目録を作成し相続人に交付したり、相続人の請求があれば事務処理の状況を報告したり、遺言執行が終了したら顛末を報告しなければなりません。
Dさんに対して、財産目録を交付したり、報告をしたりする必要がでてきます。
また、遺言書に指定された財産をDさんへ引き継がすこともしなけれなりません。
親族が遺言執行者の場合は、なかなか難しいのではないかと思われます。
司法書士は、司法書士法第29条第1項1号および司法書士法施行規則第31条1号により、遺言執行を業務としてできる旨が規定されております。
当事務所は、遺言執行者への就任も受けたまわっておりますので、遺言書作成の段階からご相談ください。
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