相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなされます。
それでは、亡くなった人(被相続人)の固定資産税の支払義務は、相続放棄すれば無くなるでしょうか?
固定資産税の課税対象者は、地方税法に定められています。
地方税法
第343条 固定資産税は、固定資産の所有者(略)に課する。
2 前項の所有者とは、土地又は家屋については、登記簿又は土地補充課税台帳若しくは家屋補充課税台帳に所有者(略)として登記又は登録されている者をいう。この場合において、所有者として登記又は登録されている個人が賦課期日前に死亡しているとき、若しくは所有者として登記又は登録されている法人が同日前に消滅しているとき、又は所有者として登記されている第三百四十八条第一項の者が同日前に所有者でなくなつているときは、同日において当該土地又は家屋を現に所有している者をいうものとする。
固定資産税を課せられる所有者は、登記簿又は土地補充課税台帳若しくは家屋補充課税台帳に所有者として登記・登録されている者となっています。
つまり、相続放棄していても、登記簿や固定資産税台帳に登記・登録されていると、固定資産税が課税されてしまうことになります。
横浜地裁平成12年2月21日判決では、被相続人の不動産を債権者が仮押さえするために、相続人名義で相続登記をしたため、その後、相続人が相続放棄をしても固定資産税が課税されてしまいました。
固定資産税の賦課期日(1月1日)時点において、不動産の登記が相続人名義であったためです。
以上から、原則として相続放棄すれば被相続人の債務を支払う義務は無くなりますが、固定資産税については地方税法第343条2項に該当してしまうと支払義務が生じてしまうと言うことになります。
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