介護してくれた子どもに多くの遺産を渡せるか?

Aさんは妻に先立たれ、現在の推定相続人は長男Bと二男Cだったとします。

二男CはAさんと同居してAさんの介護をしていたとします。

長男Bは、Aさんとは同居しておらず、住んでいる場所も遠いためAさんには年に1~2回会いに来るぐらいです。

Aさんは自分の遺産は介護をしてくれている二男Cに多く渡したいと思っています。

どうすれば良いでしょうか?


寄与分

民法には「寄与分」という制度があります。

寄与分とは、共同相続人の中に、被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をした者があるときは、相続分以上の財産を取得させようとするものです。

ただし、寄与分が認められるのは、被相続人の事業に関する労務の提供または財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をしたことが必要となります。

特別の寄与ですので、通常期待される程度を超える貢献でなければなりません。

どの程度の寄与をしたのかをめぐって、相続開始後、相続人間でもめる可能性があります。

また、実際に寄与分を算出するにも、その金額をめぐって争いになる可能性があり、相続人間で話し合いがつかなければ家庭裁判所が寄与分を定めることになります。


この様に寄与分という制度はあっても、介護をしてくれた子が必ずしも報われる結果になるとは限らず、家庭裁判所を使った手続をしなければならなくなると労力もかかってしまいます。

それを防ぐためにはどうすれば良いでしょうか?


生前に遺言書を作っておくことで対応

上記の例でいうとAさんが、介護をしてくれた子どもに多くの遺産を相続させる内容の遺言書を作っておけば二男Cさんは寄与分をめぐって苦労することはないでしょう。

Aさんが、二男Cさんからどの様な寄与行為を受けたか、この寄与分の金額はどのくらいなのかを決めて、それらを考慮した内容の遺言書を作成すれば、Cさんに多く遺産を相続させることができます。

遺留分を侵害していなければ、長男Bさんも遺言書の内容に従わざるを得ません。

親御さんと同居していたり、介護をしてくれている子どもに多くの遺産を相続させたい場合は、生前に遺言書を作っておきましょう。


なお、遺言書には自分で書く自筆証書遺言というものがありますが、形式を間違えると無効な遺言書となってしまいます。

万が一、無効な遺言となってしまっては、結局、遺産分割協議が必要となってしまい寄与分をめぐってもめる可能性が出てきてしまいます。

公証役場で作成する公正証書遺言なら形式を間違えて無効になってしまうのを防げます。

公正証書遺言で遺言書を作成することをお勧めします。


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