事例

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85歳の資産家のお父さんがいたとします。

お父さんは、アパート、自宅、更地などの資産を持っています。

今まで相続税対策はしてこなかったので、これからマンションを建てたり、不動産を組みかえたり、また、不動産を売って納税資金を準備したりしようと思っています。

ただ、お父さんは高齢なので、認知症になって、それらの計画が頓挫してしまうかもしれません。

このまま何もしないと

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このままお父さんが認知症になるとどうなるでしょうか?

まず、相続税対策はできなくなります。

成年後見制度を使っても、相続税対策は禁止されており、できません。


また、お父さんに契約能力が無くなりますので、所有しているアパートの新規入居者が来ても賃貸借契約ができません。

不動産管理会社との管理委託契約もできませんので、契約更新などの際に困ってしまうでしょう。

アパートが老朽化して大規模修繕などが必要となっても、その契約が認知症で判断能力がないとできません。

銀行の預金を下ろすことができなくなる可能性もあります。

賃料が入ってくる預金口座からお金を下ろせなくなったら、生活費やアパートの管理費用に困ってしまいます。

家族信託 活用

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家族信託の活用例を見て行きましょう。

ここでは、長男が不動産賃貸業を引き継ぐ予定であるとします。

お父さんを委託者、長男を受託者として、お父さんの財産を信託します。

お父さんを受益者として、信託した不動産などから得た収益からお父さんに生活費などを交付していく設計にします。

委託者と受益者が同一人物ですから、信託を組んだときに贈与税や不動産取得税は発生しません。

お父さんから財産を託された長男は、受託者として不動産を管理・運用していきます。

不動産を売る権限や建物を建てる権限を受託者である長男に与えておけば、将来、お父さんが認知症になっても長男が相続税対策を継続できます。

また、お父さんが亡くなったら信託を終了して、長男に残余財産を承継させる旨を信託契約書に書いておけば、遺言書の代わりにもなります。


お父さんが二男にも財産を渡したいと考えている場合は、お父さんが亡くなっても信託を終了させずに、受益権を長男と二男に2分の1ずつ承継させるという設計にもできます。

信託は終了してませんので、財産の管理・処分は受託者である長男が単独でできます。

そして、受益者が長男と二男ですので、長男は信託財産の収益を長男と二男に受益権の割合にしたがって、交付していきます。

ポイントは財産の管理・処分は長男が単独でできるという点です。

管理・処分を複数でやると話がまとまらずに、不動産を売る合意ができないということにもなりかねませんが、長男が単独で処分できるなら問題が生じません。

不動産を信託する際の注意点

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不動産を信託する場合は、金融機関との関係に気をつけましょう。

まず、担保に入っている不動産を信託する場合ですが、事前に金融機関の了承を得ましょう。

信託の登記自体は金融機関の了承が無くてもできますが、ローン契約の中に不動産の名義を金融機関の了承なしに変えてはいけない旨の条項があることが多いです。

了承なしに信託をしてしまって、後から問題が生じるといけませんので、予め金融機関に打診しましょう。


次に、信託を組んだ後に融資が必要になるケースも、予め金融機関に打診しておきましょう。

信託を組んだ財産を担保に融資をするということに対応していない金融機関もあります。

ただ、対応している金融機関もありますので、今後は、どんどん対応する金融機関が増えて行くと思われます。


最後に、不動産を信託する場合は、固定資産税を払ったり、賃料を回収したりで預金口座が必要となります。

受託者が預金口座でお金を管理するのですが、この口座を「信託口」口座にしてもらいたいです。

「信託口」口座を作ってもらえなければ、やむを得ず受託者の個人口座で対応するしかないのですが、今後は「信託口」口座を作ってくれる金融機関は増えると思いますので、作れた時点からは「信託口」口座を使いましょう。


20.活用事例 親の使わなくなった一軒家を売却したい

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