相続に関与する割合が高いのは司法書士
司法書士は、不動産の登記、裁判所に提出する書類の作成、財産管理などの業務をすることができます。
不動産の相続登記を司法書士が主な業務としていることから、相続に司法書士が関与する割合は非常に高いです。
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」によると、二人以上の世帯の持家割合の全国平均は74%です。
60代以上になると、持ち家率は84%以上となります。
つまり、相続が発生すると、不動産の登記が必要になる割合というのは非常に高いのです。
そして、大部分の相続登記は司法書士が行っていますから、相続に司法書士が関与する割合も高くなります。
頻繁に相続手続に接しているため、司法書士は相続手続に非常に詳しいのです。
司法書士にできる相続手続
不動産の相続登記
司法書士の得意とする業務が不動産の相続登記です。
不動産の相続登記を業務としてできるのは、司法書士と弁護士だけとなります。
なお、弁護士の場合は、法律上は登記手続ができることになっていますが、実際に登記業務を扱う事務所は少ないのではないかと思います。
行政書士の場合は、戸籍謄本の収集や遺産分割協議書などの作成はできますが、相続登記の申請はできません。
行政書士に相続手続を依頼した場合、相続登記の申請の部分は司法書士に依頼すると思われるため、費用が高くなるのではないかと思います。
以上から、不動産がある場合は司法書士に相続手続を依頼するのが、スムーズな手続ができて、また、費用の面からも良いと思われます。
銀行預金の相続手続
司法書士は、銀行預金について相続手続を行うことができます。
ご存知の方が少ないかと思いますが、司法書士は他人の財産管理を業務として行えるのです(司法書士法施行規則第31条)。
同じように財産管理を業務としてできることが規定されている士業は司法書士と弁護士のみです。
この規定により司法書士は、任意相続財産管理人として、お客様に代理して銀行での相続手続ができます。
重要なポイントは、業務として行えるから、職務賠償保険の対象であるということです。
つまり、銀行の相続手続をする際に、仮に、司法書士の過失によりお客様に損害を与えてしまっても、職務賠償保険から賠償金が支払われます。
ちなみに当事務所は2億円の職務賠償保険に加入しております。
財産管理が業務として法定されていない士業の場合、銀行の相続手続で損害を発生させたとしても、相続手続を士業の業務として行っている訳ではありませんので、職務賠償保険の対象にはなりません。
また、信託銀行などが遺産整理業務、相続代行サービスなどの名前で、銀行預金の相続手続サービスを行っていますが、非常に高額です。
最低100万円からと言う料金設定が多いようです。
そして、不動産の相続登記が必要になれば、別途、司法書士に依頼することになりますので、信託銀行などのサービスは割高になってしまうのではないでしょうか。
この点、当事務所は簡易な預金相続手続については低額なサービスを行っております。
また、複雑な事案を想定した相続代行トータル・サービスも信託銀行に比べてリーズナブルな料金設定となっております。
相続放棄
司法書士は裁判所に提出する作成ができますので、相続放棄申述書の作成ができます。
司法書士、弁護士以外は、相続放棄の申述書の作成はできません。
その他
裁判所に提出する書類の作成を司法書士はできますので、次のような申立の書類を作ることができます。
司法書士にできない相続手続
相続税の申告
相続税の申告は、税理士の業務分野です。
なお、相続税の申告が必要になるケースは全体の6%ぐらいかと思います。
当事務所では、相続税の申告が必要なお客様にはパートナー税理士を紹介しております。
ご希望の場合は、お申し付けください。
争いのある相続の代理人
相続人の間で遺産分割において争いがある場合は、司法書士は相続人の代理人とはなれません。
代理人となれるのは弁護士のみとなります。
ご希望の場合は、信頼のおける弁護士を紹介いたしますので、お申し付けください。
司法書士以外の専門家
弁護士
法律手続全般を行えます。
争いのある相続では、弁護士しか代理人となることはできません。
なお、相続登記を自分で行っている弁護士は少ないと思われます。
税理士
相続税の申告を行います。
相続税の申告は複雑ですので、お客様ご自身で申告するのはハードルが高いと思われます。
当事務所でパートナー税理士を紹介することもできます。
行政書士
遺産分割協議書の作成や戸籍謄本の収集などができます。
ただ、不動産登記の申請はできません。
不動産登記を司法書士にご依頼されれば、司法書士が遺産分割協議書を作成したり、戸籍謄本を収集しますので、コストを抑えるには司法書士に直接依頼した方が良いかもしれません。
信託銀行
遺産整理業務や相続代行サービスと銘打って、相続代行サービスをしています。
しかし、不動産の相続登記は、司法書士に依頼することになり、信託銀行の報酬とは別に費用が発生します。
相続税の申告も税理士に依頼することになり、別途費用が発生します。
信託銀行のやってくれる業務は、銀行預金・株式などの相続手続のようですが、最低100万円の報酬を取るところが多いようです。
コストパフォーマンスを考えると、司法書士の預金相続手続サービスや相続代行トータル・サービスをご利用した方が良いかと思われます。