ライフステージごとの財産管理
人生のステージごとの財産管理・承継の方法についてみていきましょう。
まずは、元気なとき。
そして、認知症になって判断能力が無くなったとき。
次に相続が開始したとき。
その後は、さらに次の相続が開始したとき(2次相続)。
これらのライフステージごとに従来は別々の財産管理をしていました。
まずは、元気なうちは、財産管理を人に頼もうと思ったら委任をする訳です。
委任して代理人として財産管理をしてもらう。
金融機関の預貯金でも、代理人が預貯金をおろせるところもあります。
ただ、金融機関によっては、代理人では預貯金はおろせませんよという所もあります。
また、不動産を売るときなどは、司法書士は売主さん本人に会って意思確認をしますから、代理人だけでは不動産を売ることはできません。
つまり、委任は万能ではないということになります。委任して代理人になったからと言って何でもできる訳ではないのです。
この点、家族信託なら、財産を受託者に託して名義が変わってますから、受託者が単独で財産の管理・処分ができます。
お金も受託者が管理する口座に入ってますから、受託者がおろすことができます。
不動産も形式的には受託者名義になってますから、売却する権限を受託者に与えていれば、受託者が単独で売ることができます。
通常の委任ではできなかったことが、家族信託ならできるということになります。
次に、認知症になって判断能力がなくなったら、通常であれば成年後見制度を使うことになります。
後見人がついて、後見人が財産管理を行います。
ただ、成年後見制度では、相続税対策や資産活用はできません。
財産は凍結されてしまう訳です。
この点、家族信託を事前に組んでおけば、認知症になっても受託者が財産管理をしますし、相続税対策や資産の活用が信託の目的であれば、それらのことも継続できるのです。
判断能力が無くなったときのことも、家族信託の方ができることが多いということになります。
また、相続が開始したときのことを見てみましょう。
相続が開始して、生前に遺言書を作っていれば、遺言執行者が遺言の執行をします。
ただ、遺言の執行にはある程度時間がかかりますから、財産管理の空白期間はできてしまいます。
預金口座などは死亡したら相続手続をするまで凍結されますので、空白期間ができてしまいます。
この点、家族信託なら初めの受益者の死亡を条件として、次の受益者に自動的に受益権を移せば、空白期間ができない訳です。
お金は受託者が管理する口座にありますから、受益者が死亡しても凍結はされません。
最後に、2次相続です。
2次相続は、ご本人が亡くなった後に、お子さんが相続して、さらにお子さんが亡くなったときの相続のことです。
従来の遺言の制度では、この2次相続以降の財産の承継者を指定することができませんでした。
しかし、家族信託なら、何代にも渡って財産の承継者を指定できます。
2次相続、3次相続の承継者を指定しておくことができるのです。
そして、従来であれば、元気なとき、認知症になったとき、相続が開始したときは別個の手続で財産管理をしていました。
しかし、家族信託ならすべてのライフステージの財産管理を一個の家族信託の契約でカバーすることができるのです。
家族信託 解説コラム メニュー
- 01.認知症になると成年後見人が財産管理をする
- 02.成年後見制度のデメリット(相続税対策はできない)
- 03.信託銀行じゃなくても受託者になれる?
- 04.家族信託の仕組み
- 05.信託すると所有権は権利と名義に分かれる
- 06.信託とは財産管理の一手法
- 07.信託不動産の登記簿の記載例
- 08.民事信託・家族信託・福祉型信託・商事信託とは
- 09.家族信託の組み方
- 10.遺言による信託の活用例
- 11.自己信託の活用例
- 12.信託設定時の課税について
- 13.家族信託のイメージと機能
- 14.家族信託のメリット 後見制度に代わる柔軟な財産管理
- 15.信託活用のメリット 何代にも渡って承継者を指定できる1
- 16.信託活用のメリット 何代にも渡って承継者を指定できる2
- 17.信託活用のメリット 不動産共有化対策
- 18.信託活用のメリット スムーズな資産承継 遺言書き換えの防止
- 19.活用事例 高齢の資産家が相続税対策をしたい
- 20.活用事例 親の使わなくなった一軒家を売却したい
- 21.活用事例 共有不動産のトラブル回避
- 22.活用事例 障がいを持つ一人っ子に資産を残す
- 23.活用事例 会社経営者(株主)の認知症・相続対策
- 24.まとめ
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