家族信託の方法

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家族信託の組み方には3つの方法があります。

まずは、当事者同士(委託者と受託者)で契約するやり方。

今までの説明に出てきたやり方です。

信託契約をしたら、すぐに信託の効果を持たせることができるので、認知症対策として使うことができるやり方です。


次に、遺言による信託です。

遺言書に相続が発生したら信託する旨を記載しておき、実際に相続が開始したら信託の効果が発生します。


最後が自己信託です。

自分の財産を自分に信託するやり方です。

多くの場合は、公正証書で組むことになります。

契約による信託のイメージ

契約による信託

それでは、契約による信託はどの様に組むのかを見て行きましょう。

銀行とかに「家族信託をしたいのですが…」と言っても、銀行は「そう言うのは扱ってないです」と答えるでしょう。

契約による信託では、財産を持っている委託者と財産を託される受託者との間で信託契約書を交わします。

この契約書をまず家族信託に詳しい専門家に作ってもらう必要があります。

契約書ができたら、委託者と受託者で署名捺印します。


そのあとで、信託する財産を受託者の名義に移すのです。

例えば、お金を信託する場合は、受託者が信託財産を管理するための口座を作りまして、そこに委託者がお金を振り込むのです。

受託者の口座で管理しますが、信託財産であることが分かるように、口座の名義は「信託口」と明記してもらった方が良いでしょう。

「磯野波平 受託者 磯野カツオ 信託口」と言うような表記の通帳にしてもらえればベストです。

ただ、現時点(平成28年)では、この様な口座の表記にしてくれない銀行も多いです。

どうしても、「信託口」と記載してくれなければ、受託者の個人口座で管理し、その口座番号等を信託契約書に書いておいて、信託財産であることを示すしかないでしょう。

まあ、家族信託に協力的な金融機関は徐々に増えてますので、非協力的な銀行から協力的な銀行にお金を移してしまえば良いと思います(ローンについても家族信託に協力的な金融機関に借り換えるという流れは出てくると思われます)。


次に不動産の場合を見て行きます。

不動産の場合は、信託契約書を交わしたら、名義を受託者に変えます。

まあ、あくまで形式的な名義が受託者に変わるだけですから、信託財産からの利益は受益者のものです。


あとは、自社株式を信託した場合です。

会社の株主名簿を受託者名義に変えるように要請します。

「磯野波平 受託者 磯野カツオ」のように株主名簿に記載してもらいます。

株式の譲渡をする場合に会社の承認を要する旨を定めている会社の場合は、この承認手続もちゃんとやっておきましょう。


それでは、次のページで遺言による信託を見て行きます。

10.遺言による信託の活用例


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