認知症患者の割合

認知症患者の割合

日本における認知症患者の割合を見ていきましょう。

厚労省研究班の発表によると平成24年における65才以上の高齢者のうち認知症患者は462万人となっています。

そして、認知症の前段階と言われる軽度認知障害の患者数は400万人です。

合計すると862万人となり、65才以上の方の約4分の1が、認知症またはその予備群となっています。

認知症というのは他人事ではない身近な問題と言えるでしょう。


認知症になって判断能力がなくなると…

認知症になると

認知症になって判断能力がなくなるとどうなるでしょうか?

例えば、親御さんがお子さんに「銀行に定期預金をしておくから、私が認知症になったら、そのお金で施設に入れてくれ」と言っておいたとします。

数年経って、親御さんが認知症になり、お子さんが銀行に行って親御さんの定期預金をおろそうとしたらどうなるでしょうか?

銀行は、「ご本人の意思確認ができないと定期預金の解約はできません。」と言って、定期預金をおろしてくれないでしょう。

ご本人の意思確認と言われても、親御さんは認知症で判断能力がなくなってますので、意思表示はできません。

銀行は、「定期を解約する場合は、成年後見人を選任して、成年後見人から手続してください。」と言うでしょう。

認知症になって、判断能力がなくなったら、成年後見人をつけないと財産の管理・処分ができないのです。


また、次の例として、親御さんが元気なうちにお子さんに「私が認知症になったら、自宅不動産を売却して、施設費に充ててくれ」と言ってたとします。

数年後、親御さんが認知症になって、お子さんが親御さん名義の不動産を売ろうとしたらどうなるでしょうか?

不動産屋や司法書士は、「ご本人の意思確認ができないと不動産の売却はできません。」と言って、不動産を売ることはできないでしょう。

認知症になって判断能力がなくなれば、財産の処分はできないのです。

不動産を売却しようと思ったら、成年後見人を選任して、成年後見人から売るしかありません。


成年後見制度の利用実態

成年後見制度利用の実態

次に成年後見制度の利用実態を見ていきましょう。

まず、成年後見の申立の動機です。

「預貯金等の管理解約」が成年後見を申し立てた理由として一番多くなっています。

認知症になって、預貯金をおろすことができなくて困ってしまうということが多いのだと思われます。

次に多いのが「介護保険契約」や「身上監護」となっています。

「身上監護」というのは、身の回りの契約や手続のことです。

例えば、施設との契約や入院の契約などです。

その次に多いのが、「不動産の処分」となっています。

やはり、預貯金の解約や不動産の売却が、認知症になってできなくて困るということが多いのでしょう。


今度は、成年後見の年間の申立件数を見ていきましょう。

平成24年ですと、年間、約3万4000件となっています。

しかし、さっき述べたとおり、認知症高齢者の数は462万人ですから、それに比べると成年後見の申立件数は少なくないでしょうか?

この理由として、成年後見制度の負担が大きく、また、使い勝手が悪いということが挙げられます。

その辺を次のページで解説していきます。


02.成年後見制度のデメリット(相続税対策はできない)


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