活用事例 会社経営者(株主)の認知症・相続対策

事例

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自社株式を100%持っている会社経営者の事例を考えてみましょう。

この経営者が自社株式を200株持っていたとします。

そして、経営者の相続人が長男と二男の二人だったとします。

経営者が亡くなって相続が発生したとき、この200株が自動的に長男と二男に200株ずつ分かれる訳ではありません。

1株の株式は長男と二男が2分の1ずつの準共有状態となってしまいます。

準共有になった株式が200株あるということになります。

遺産分割協議がまとまらない限り、株式は準共有状態のままです。

準共有になった株式の議決権行使は誰が行使するかというと、持分価格の過半数で権利行使者を決めることになります。

すると、今回の事例では、長男と二男が2分の1ずつですから、誰も過半数以上持っていません。

長男と二男の意見が一致しないと株式の議決権行使ができずに、会社にとって重要な決定ができなくなってしまいます。

これを防ぐためには、経営者が生前に遺言書を作っておくか、家族信託をしておくかということになります。


今度は、経営者が認知症になってしまったことを考えましょう。

自社株式100%を持っている経営者が認知症になってしまったら、株主総会決議ができずに会社経営に支障がでます。

取締役の選任、商号変更、会社の目的の変更、本店移転、新株の発行などができずに困ってしまうかもしれません。

株主である会社経営者は認知症で判断能力がないけど、株主総会決議をしたことにすれば良いでしょうか?

実際は株主総会をしてませんから、書類を勝手に作ったとなれば私文書偽造ということになるでしょう。

後継者争い等があれば、それを問題にされる可能性は高いでしょう。

また、司法書士も損害賠償請求を受ける可能性がありますから、そのような状況で会社の登記を頼まれても依頼を受けないと思われます。


それでは、経営者(株主)が認知症になってしまったなら、成年後見人をつけてもらってはどうでしょうか?

まず、親族間で争いがあったり、財産が多額の場合は、家庭裁判所は親族を後見人にしないで司法書士や弁護士などの専門職を後見人にする可能性が高いです。

しかし、部外者である専門職後見人に株式の議決権を行使して会社経営をしてくれと言っても困ってしまうでしょう。

仮に、家族が後見人になれたとしても、後見制度は本人の財産を守るための制度であり、株式の議決権行使は暫定的(保全的)な範囲に限られるとみるべきです。

後見人が自由に株式の議決権を行使できるものではないと言うべきです。

この様に、会社経営者(株主)が認知症になった場合、株式の議決権行使は非常に難しくなり、会社経営に支障が出てしまうのです。

これを防ぐために家族信託が活用できます。


後継者に株式を信託

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株式を持っている会社経営者が元気なうちに、後継者と信託契約を結び、自社株式を後継者に信託します。

株式を託された後継者は受託者ということになりますが、株式の議決権は受託者が行使できます。

会社経営者が認知症になって判断能力が無くなっても、受託者である後継者が株式の議決権を行使できますから、会社経営に支障をきたしません。

信託を組んだ時に、受益者と委託者を同一人物にしておけば贈与税はかかりません。

この事例では、株式を持っていた会社経営者が委託者です。

信託財産から利益を受ける受益者も会社経営者にしておけば、贈与税は課税されないのです。

また、受益者と言っても自社株式を信託した場合、配当がないのであれば特に受け取る物はありません。

配当がある場合は、配当を受託者が一旦受け取って、そこから受益者に利益を分配します。


なお、会社経営者の方々は、自分が元気なうちは自分で会社経営(議決権の行使)をしたいとお考えの方も多いでしょう。

自分が元気なうちは、自分で議決権を行使して、判断能力が低下したら受託者である後継者が議決権行使をするという様な設計も可能です。

指図権者に会社経営者を指定しておくのです。

指図権者は、受託者に対して議決権の行使方法を指図することができます。

経営者が元気なうちは、指図権者として受託者である後継者に対して、議決権行使方法の指示を出すのです。

そして、判断能力が低下して、指図ができなくなったら、後継者が自分の判断で議決権を行使していきます。


また、将来、経営者が亡くなったときは、信託を終了して残余財産である株式を後継者が取得する旨を定めておけば、遺言書の代わりにもなります。


さらに、経営者が亡くなっても信託を終了させないことにより、相続による議決権の分散化を防止するための活用方法もあります。

例えば、経営者の相続人が長男(後継者)と二男であったとします。

経営者が亡くなった際は、受益権を長男に4分の3、二男に4分の1取得させる設計にしておきます。

遺留分を考えて、二男にも4分の1の受益権を渡します。

受益者が長男と二男の二人になったわけですが、受託者は後継者である長男一人です。

つまり、株式の議決権は受託者である長男一人で行使できるのです。

相続によって議決権が分散化しませんから、会社経営を安定させる効果があります。

なお、受益者は長男と二男の二人となりましたが、配当がない会社の場合は受益者と言っても事実上何も受け取れないということになります。

それでは、二男がかわいそうですから、将来的には、長男が二男の受益権を買い取っていくような設計も必要かと思います。


まとめますと、自社株式の家族信託は、経営者の認知症対策や相続による議決権の分散化防止などに活用できるということになります。


24.まとめ


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