質問

親が認知症になると預貯金が下ろせなくなると聞きました。

家族信託をすることによって、親が認知症になっても、親の生活費のために子どもが預金を管理することができるでしょうか。


回答

親御さんの判断能力があるうちに、お子さんを受託者としてお金を信託しておくことによって、信託した後はお子さんが信託用の口座にてお金の管理ができます。

その後、親御さんが認知症になって判断能力がなくなっても、信託したお金はお子さんが出し入れできますので、そのお金で親御さんの生活費などの支払をすることができます。

親御さんが持っているお金をお子さんに信託したいときは、まず、親御さんと受託者となるお子さんとで信託契約を結びます。

信託契約を結んだら、お子さんが信託用の口座(信託口口座)を開設し、その口座に親御さんが信託するお金を入金します。

入金後は、信託用の口座をお子さんが管理していくことになります。


お子さんが管理しているお金を親御さんのために使うのですが、具体的にどう使うかは信託契約書に親御さんの意向にそって定めておきます。

例えば、「親御さんの要求した金額を随時親御さんに渡す」という定め方が考えられます。

しかし、この定め方だと、親御さんの判断能力が低下した場合、生活費の要求を親御さんができなくなりますから、「受託者(お子さん)の判断によっても生活費を給付できる」などとも定めておいた方が良いかもしれません。

また、お金だけを親御さんに給付するのではなく、受託者であるお子さんが管理しているお金で親御さんの生活費必要な物品・サービスなどを購入し、親御さんに物品・サービスを提供するという形も取り入れた方が便利でしょう。

親御さんが支払べき医療費・施設費などの費用を、受託者であるお子さんが管理しているお金から直接支払えるように信託契約書に定めておくことも一考です。


なお、親御さんは信託するときに、自分の全財産を信託しなくてはいけない訳ではありません。

信託しなかったお金を親御さん自身の銀行口座に残しておけば、このお金は親御さんが自分で下ろして自由に使えます。

親御さんが元気なうちは、その口座から親御さん自身が下ろして生活費を自分で支払うことが可能です。


詳しくは拙著「Q&A 「家族信託」の活用」もご参照ください。


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