質問
親の自宅不動産を私に家族信託しました。
その後、親が施設に移り住んだので、受託者の私が信託された不動産を売りたいと思います。
売るときはどの様な手続になるのでしょうか?
信託登記を消してから売るのでしょうか?
回答
信託登記を消してから売るのではなく、売買により買主さんに所有権移転登記するのと同時に信託登記も抹消します。
まず、不動産を売るときは不動産の仲介業者さんに相談することが多いかと思いますが、受益権を売買するのではなく、信託された不動産自体を売買するのであれば宅建取引業の免許で仲介業ができます。
仲介業者さんの中には信託された不動産の売買ということで、金融商品取引業の免許が必要なのではないかと思い違いしているところもあるようですが、受益権の売買ではないので金融商品取引業の免許は必要ありません。
次に、不動産の売買契約書の署名捺印はどうするかですが、受託者が行います。
売買契約書の売主の住所欄には受託者の住所を書き、氏名欄には「〇〇(委託者の名前)信託受託者〇〇(受託者の名前)」などのように信託の受託者として契約していることが分かるように記載します。
その後、代金決済の日を調整して、売買代金を受領するのと引き換えに、所有権移転登記(と信託登記の抹消)に必要な書類を買主さん(側の司法書士)に引き渡します。
売買代金は受託者が受け取ることになります。
信託された不動産を売って得たお金も信託財産です。受託者個人のものになる訳ではありません。
受託者が信託口口座などで管理して、信託契約書で定められた内容に従い使っていきます。
なお、所有権移転登記と信託登記抹消は司法書士が行うことになります。その際の登記申請書のひな形は次のとおりです。
登記の目的 所有権移転及び信託登記抹消
原因 所有権移転 平成 年 月 日 売買
信託登記抹消 信託財産の処分
権利者 東松山市〇〇
坂戸花子
義務者(信託登記申請人)
東松山市〇〇
鈴本一郎
添付書類 登記原因証明情報 登記識別情報 印鑑証明書
住所証明書 代理権限証書
登記完了後に通知される登記識別情報通知書・登記完了証は代理人の住所に送付を希望します。
平成 年 月 日 さいたま地方法務局 東松山支局
代理人 東松山市〇〇
司法書士〇〇
課税価格 金〇〇円
登録免許税 合計金〇〇円
移転分 土地金〇〇円 租税特別措置法第72条第1項
建物金〇〇円
抹消分 金〇〇円 *
不動産の表示 略
* 信託の抹消登記の免許税は不動産一個につき1000円となります。
登記原因証明情報のサンプルは下記からダウンロードください。
信託登記 参考書籍
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