質問
家族信託の受託者になる家族の範囲には制限がありますか?
何親等までの家族なら良いのでしょうか?
甥や姪も受託者になることができるでしょうか?
回答
家族信託の受託者になる家族の範囲に制限はありません。
甥や姪でも受託者になれます。ただし、次のことに注意しましょう。
まず、信託法において未成年者、成年被後見人、被保佐人は受託者になれないとされています。
次に信託会社・信託銀行以外の者が「営業」として受託者になる場合は、信託業法違反になってしまいます。
営業とは、営利の目的をもって反復継続して信託の引き受けを行うことです。
営業に該当しなければ、受託者となる家族の範囲に制限がある訳ではありません。
また、財産を託す委託者が、受託者を信頼できるかどうかも重要です。
委託者の財産の管理や処分を受託者に託す訳ですから、受託者が財産を私的に使い込んでしまうのではないかという心配があるのでは家族信託は難しいと思います。
受託者になる家族や親族が、受託者には様々な義務が課せられていることも知っておく必要があります。
例えば、受託者は信託に関する取引で生じた債務について信託財産で払えなければ、受託者の個人財産で払わなくてはなりません。
また、受託者は、信託不動産の形式的な所有者にもなりますので所有者責任を負います。
信託不動産の瓦が落ちて誰かが怪我をした場合、損害賠償金を信託財産で払えなければ、これも受託者の個人財産で払わなくてはなりません。
その他、信託不動産を売却したときに、不動産に欠陥があった場合、買主から損害賠償請求をされるかもしれません。
これも信託財産で払えなければ受託者個人が払うということになります。
受託者には信託に関する帳簿をつける義務もありますし、受託者が任務を怠ることにより信託財産に損失が生じた場合は損失のてん補を受益者から請求されるかもしれません。
以上のように受託者には様々な責任と義務があります。
これらを知ったうえで受託者になってくれる家族・親族がいらっしゃらないと家族信託を使うことはできないでしょう。
詳しくは拙著「Q&A 「家族信託」の活用」もご参照ください。
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