質問
不動産の相続登記はいつまでにしなければならないとか期限があるのでしょうか?
回答
相続税の申告は相続開始後10ヶ月以内ですが、相続登記にはいつまでにしなければならないと言う期限は定められていません。
相続登記をしなかったからと言って罰則などはないのです。
しかし、相続登記をせずに放っておくと次のような問題を生じる可能性があります。
相続人が死亡すると遺産分割協議の当事者が増えてしまい話がまとまらなくなる
ある人が亡くなって、その相続人が3人いたとします。
相続登記をせずに放っておいて、その間に相続人の一人が亡くなったとします。
すると、この相続人の配偶者や子なども元の相続の当事者となるのです。
つまり、相続登記を放置しておくと、その間に次々と新たな相続が開始して、当事者がどんどん増えて行ってしまいます。
いざ、誰が不動産を相続するか決めようと思って、遺産分割協議をしても、当事者が増えすぎて話がまとまらない可能性があります。
2代、3代と世代を重ねると、あまり交流のない親族同士になってしまい、連絡先も良く分からないという事態にもなりかねません。
現実に、相続登記を放置していたために、相続人が増えてしまって遺産分割協議がまとまらない不動産はたくさんあります。
相続登記ができない以上、不動産を売ることもできずに、空き家問題の一因ともなっています。
また、2次、3次の相続が始まってしまうと、集める戸籍謄本も増えてしまい費用もかかってしまうでしょう。
相続登記はなるべく早くした方が良いと思われます。
相続人の認知症リスク
相続登記を放置して時間が経ってしまうと、相続人が高齢となり認知症になってしまうことも考えられます。
認知症になり判断能力がなくなると遺産分割協議ができなくなります。
遺産分割協議をするためには成年後見人をつける必要が出てきてしまいますが、成年後見人をつけるにも費用がかかります。
そして、司法書士などの専門職が成年後見人になった場合は、月2~3万円(財産状況によりもっと高額なこともあり)の報酬がかかるようになってしまいます。
また、成年後見人がついた場合は、本人の法定相続分を確保する遺産分割協議をするように家庭裁判所に指示されます。
遺産をもらわない遺産分割協議をすることはできないでしょう。
これらのリスクを避けるためにも、相続人が元気なうちに遺産分割協議をして相続登記をした方がよいでしょう。
書類が取れなくなる可能性がある
亡くなった人の住所を証明する書類として、相続登記では住民票の除票や戸籍の附票が要求されます。
しかし、これらの書類の保存期間が5年となっているので、亡くなってから何年も経つと取れなくなる可能性があります(役所によっては期間を過ぎても取れることがあります)。
住民票の除票や戸籍の附票が取れないと、その他の書類を取ったり、相続人全員から証明することが要求されたりして相続手続が煩雑になります。
住民票の除票や戸籍の附票の保存期間が経過しないうちに相続手続をしておいた方がよいでしょう。
なるべくなら数ヵ月以内に
以上のとおり相続登記を放置しておくと大変なことにもなりかねません。
できれば相続が開始してから数ヶ月以内に相続登記をしてしまった方が良いと思われます。