信託終了後、受託者でもある帰属権利者に所有権移転登記する際の登録免許税は?

質問

親が委託者兼受益者で、子どもが受託者である信託において、親が亡くなったら受託者である子どもが帰属権利者として残余財産を取得する内容になっています。

受託者である子どもから、帰属権利者としての子どもに所有権移転登記する際の免許税はどうなりますか?


回答

登録免許税法の規定を見てみましょう。

登録免許税法7条2項
信託の信託財産を受託者から受益者に移す場合であつて、かつ、当該信託の効力が生じた時から引き続き委託者のみが信託財産の元本の受益者である場合において、当該受益者が当該信託の効力が生じた時における委託者の相続人(当該委託者が合併により消滅した場合にあつては、当該合併後存続する法人又は当該合併により設立された法人)であるときは、当該信託による財産権の移転の登記又は登録を相続(当該受益者が当該存続する法人又は当該設立された法人である場合にあつては、合併)による財産権の移転の登記又は登録とみなして、この法律の規定を適用する。

分かりづらいのですが、下記の条件を満たすときは、相続による移転登記とみなして、登録免許税が1000分の4と安くなります(通常は1000分の20)。

  1. 信託財産を受託者から受益者に移す場合
  2. 信託の効力が生じた時から引き続き委託者のみが信託財産の元本の受益者である場合
  3. 受益者が当該信託の効力が生じた時における委託者の相続人であるとき

平成30年12月18日の名古屋国税局の文書回答を参考にしながら考えていきます。

まず、「信託財産を受託者から受益者に移す場合」ですが、財産を移すのは受託者から帰属権利者です。

一見、帰属権利者だから「受益者」には該当しないのではないかという気もします。

しかし、信託法183条6項は、信託の清算中は帰属権利者を受益者とみなすと規定しています。

信託法183条6項
帰属権利者は、信託の清算中は、受益者とみなす。

したがって、第1の条件は、「信託財産を受託者から受益者(帰属権利者)に移す場合」だから条件を満たします。


第2の条件である「信託の効力が生じた時から引き続き委託者のみが信託財産の元本の受益者である場合」を考えてみます。

名古屋国税局の文書回答の事案では、委託者兼受益者の死亡により、委託者の地位は残余財産帰属権利者が取得する信託契約の内容だったようです。

信託開始時は、委託者と受益者はともに親御さんですが、親御さんが亡くなるとお子さんが帰属権利者(みなし受益者)になります。

帰属権利者に委託者の地位も移転する内容の信託契約であれば、委託者の地位もお子さんが取得するとこになります。

つまり、初めは委託者と受益者がともに親御さんで、親御さんが亡くなった後は委託者と受益者(帰属権利者)がともにお子さんになるので、「信託の効力が生じた時から引き続き委託者のみが信託財産の元本の受益者である場合」という第2の条件を満たすことになります。

第2の条件を確実にクリアするためには、信託契約書に、委託者が亡くなった場合、委託者の地位は帰属権利者が取得する旨を定めておいた方が良いかと思います。


第3の条件は、「受益者が当該信託の効力が生じた時における委託者の相続人であるとき」です。

信託法183条6項により帰属権利者は受益者とみなされます。

帰属権利者(受益者)であるお子さんが、信託の効力が生じたときにおける委託者(親御さん)の相続人であれば、第3の条件も満たします。


したがって、質問の答えは、相続による所有権移転登記とみなして、登録免許税は1000分の4となります。


登録免許税7条2項は「受益者」という言葉が3回出てくるのですが、1番目と3番目を帰属権利者と解釈すれば分かりやすいかと思います。


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