なぜ空き家が増えるのか?

日本全国で空き家が問題となっております。

空き家対策特別措置法を施行され、空き家問題はニュースでもよく取り上げられています。

少子高齢化で人口が減っているにも関わらず、新築住宅が次々と建てられるので住宅はどんどん供給過多になっていきます。

現在、7戸に1戸の割合で空き家がある計算になります。


それでは、空き家が発生する原因は何でしょうか?

人が住んでいた家が空き家になる原因は主に次の3つです。

  • 高齢者の移動(施設への入所・子どもの家への移転)
  • 相続
  • 引っ越し

特に、高齢者が一人暮らしができなくなり、施設へ入所したり、子どもの家に引っ越したりして、元の家が空き家になるケースが多いと思われます。

そして、元の家をそのうち売ろうと思っていても、高齢者が認知症になってしまうと売れなくなってしまいます。

認知症になって判断能力が無くなってしまうと、不動産の売却はできないのです。


認知症になった高齢者の不動産を売るには

認知症になった高齢者の不動産を売りたいと不動産会社に相談すると、「成年後見人をつけてください」と言われるでしょう。

成年後見人とは、認知症などで判断能力が無くなった方の財産を管理をする人のことで、家庭裁判所が選びます。

成年後見人の候補者に親族を希望することもできますが、家庭裁判所は事案によっては司法書士などの専門家を後見人に選びます。

専門家が後見人になると、その報酬も高齢者の財産から払い続けなければならなくなります。

しかし、成年後見人を選んだからと言って、必ず不動産が売れるとは限りません。

高齢者が元々住んでいた家は居住用不動産になり、売却するのに家庭裁判所の許可が必要なのです。

そして、家庭裁判所は、不動産を売るのに合理的な理由がないと許可を出してくれません。

例えば、不動産を売却しないと施設への入所費が払えないとか、生活費が足りなくなってしまうとかが合理的な理由です。

預金が充分にあるのに、居住用の不動産を売る許可を得るのは難しいと思われます。


不動産が売れないとなると、元の家には誰も住んでいないのに、固定資産税を払い続けたり、家の維持管理をしていかなければなりません。

お金や手間がかかるのです。

高齢者が施設などに移り、そのお子さんが空き家の管理をしなければならなくなると、かなりの負担がお子さんにかかることになります。


家族信託で不動産を柔軟に売れるようにしておく

上記の問題を家族信託で解決できます。

高齢者が元気なうちにお子さんと家族信託を組むのです。

高齢者が自分の不動産をお子さんに託します。

家族信託構図

お子さんは、託された財産を管理していきます。

高齢者が元気なうちは、家にそのまま住むこともできます。

その後、高齢者が認知症などになって施設に移り、家に住まなくなったら、お子さんが家を売ることができます。

成年後見の制度を使わなくても、家族信託を組んでおけば、お子さんは柔軟に家を売れます(なお、売って得たお金は、高齢者のために使います)。


また、空き家問題の発生する原因として、相続が起こったときに相続人の遺産分割協議がまとまらず不動産を売れないということも挙げられます。

しかし、家族信託は、高齢者に相続が発生した場合、誰が財産を承継するか指定することができるのです。

例えば、相続が発生した場合は長男が信託財産を承継すると指定しておけば、長男は他の相続人と遺産分割協議をすることなく、信託されていた財産をもらえます。

相続の手続がスムーズになり、遺産分割協議がまとまらずに空き家が発生することを防げます。


お子さんに空き家の管理で負担をかけないためにも、元気なうちに家族信託を検討してはいかがでしょうか?

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