株主である経営者が認知症になったら
中小企業のオーナー社長(株主)が認知症になるとどうなってしまうでしょうか?
例えば、1000株発行している会社で、経営者である社長が1000株を持っていたとします。
経営者が認知症になってしまうと、株式の議決権を行使できません。
株主総会が開けなくなり、取締役を変更しようと思っても変えられません。
また、株主総会決議が必要な重要な決定はできなくなってしまいます。
後見人をつけようと思っても、後見人選任を裁判所に申し立ててから実際に選任されるまで2ヶ月ぐらいはかかります。
そして、成年後見人に司法書士や弁護士などの専門家が選任された場合、彼らは経営のプロではありませんので、株式の議決権行使をして会社の経営をしろと言われても困ってしまいます。
ご家族が後見人になれたとしても、後見人の職務は財産の保全です。どこまで議決権を行使して良いのか文献を読んでもはっきりしません。
経営者が認知症になる前に、贈与で後継者に株式を移すということも考えられますが、贈与税の問題も発生します。
これらの問題を家族信託なら解決できます。
経営者の株式を家族信託すると
経営者が元気なうちに後継者に株式を託します。
経営者を委託者、後継者を受託者として信託契約を結び、株式を信託するのです。
そして、経済的利益(受益権)を受ける受益者は経営者とします。
後継者は受託者として株式の議決権を行使することが可能となります。
経営者が認知症になっても、後継者が議決権を行使できますから、代表取締役を変更したりすることが可能となり、会社経営が滞ることがありません。
なお、経営者が元気なうちは、信託契約を締結した後も、受託者(後継者)に議決権行使の方法を指図できる信託設計にすることも可能です。
そして、上記の信託スキームでは、受益者を経営者としてます。
委託者と受益者が同一人物なので、信託契約を締結しても贈与税は発生しません。
贈与税を発生させることなく、後継者が議決権を行使できる信託スキームとなります。
なお、経営者が亡くなった場合に、信託を終了させて残余財産を後継者に帰属させる契約にしておけば、遺産分割協議をせずに株式を後継者が承継できます。
さらに、経営者が亡くなった場合に、信託を終了させずに経営者の持っていた受益権を承継させることもできます。
例えば、経営者に子どもが2人いて、そのうち一人が受託者である後継者だったとします。
受益権を後継者に4分の3、他の子どもに4分の1承継させます。
この場合でも議決権は引き続き受託者である後継者にありますから、後継者は単独で議決権の行使が可能となります。
つまり、相続による株式の分散化対策にも家族信託は有効です。
自社株の信託では、受益権は経済的利益を受ける権利となるので、配当から分配を受ける権利と言えます。
ただ、配当をしていない会社の場合は特に何も受け取るものがありません。
受益権のみを承継した子に対しては、将来的に受託者である後継者が受益権を買い取るなどのケアを検討する必要もあるかもしれません。
相続をスムーズにするためにも家族信託は活用できます。
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