本稿では、遠方の家庭裁判所で相続放棄の手続をしなければならない場合、郵送で書類を送れるかについて解説します。

目次

相続放棄の管轄裁判所は?

相続放棄は、亡くなった方(被相続人)の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申述書などを提出して行います。

ちなみに埼玉県内の家庭裁判所の管轄は次のとおりです。

東松山市が被相続人の最後の住所地だったとしたら、さいたま家庭裁判所熊谷支部が管轄裁判所ということになります。

裁判所管轄の市町村
さいたま家庭裁判所さいたま市,蕨市,戸田市,朝霞市,志木市,和光市,新座市,川口市,鴻巣市,上尾市,桶川市,北本市,蓮田市,北足立郡(伊奈町)
さいたま家庭裁判所久喜出張所久喜市,加須市,幸手市,白岡市,南埼玉郡(宮代町)
さいたま家庭裁判所越谷支部越谷市,春日部市,草加市,八潮市,三郷市,吉川市
北葛飾郡(杉戸町 松伏町)
さいたま家庭裁判所川越支部川越市,富士見市,坂戸市,鶴ヶ島市,ふじみ野市,所沢市,狭山市,入間市,飯能市,日高市
入間郡(越生町,毛呂山町,三芳町)
比企郡の内 川島町 鳩山町
さいたま家庭裁判所熊谷支部熊谷市,行田市,東松山市,羽生市
深谷市,本庄市
比企郡の内
滑川町,嵐山町,小川町,吉見町,ときがわ町

児玉郡(美里町 神川町 上里町)
秩父郡の内 東秩父村
大里郡(寄居町)
さいたま家庭裁判所秩父支部秩父市
秩父郡の内
横瀬町,皆野町,長瀞町,小鹿野町

では、管轄の家庭裁判所が遠方だった場合、家庭裁判所に行かなければ、相続放棄の手続ができないのでしょうか?

ご安心ください。相続放棄の申述書などを郵送で家庭裁判所に送ることによって、家庭裁判所に行かなくても手続ができます。

家庭裁判所に相続放棄申述書を提出すると、家庭裁判所から照会書(回答書)が郵送されてきます。

その照会書(回答書)も記入した上で、郵送で家庭裁判所に送れば良いので、基本的には家庭裁判所に行かなくても相続放棄の手続は可能です。

私が今まで係った相続放棄で裁判所に呼び出されたということはありません。

なお、相続放棄したことを証明する相続放棄申述受理証明書も郵送で申請して、郵送で送ってくれます。


相続放棄に必要な戸籍等の郵送取得

相続放棄申述書を家庭裁判所に提出するときに、いくつか書類を添付します。

例えば、被相続人の戸籍謄本や住民票の除票、申述人の戸籍謄本などです。

集める戸籍などは事案によって異なってきますが、この戸籍の収集も役所が遠方の場合は、郵送で取得することができます。

戸籍謄本を取る場合は本籍地の役所、住民票を取る場合は住所地の役所に申請します。

役所のホームページに戸籍謄本や住民票の申請書が載っていることが多いと思いますので、ダウンロードして印刷します。

申請書に必要事項を記入して、切手を貼った返信用封筒とともに送ります。

戸籍謄本や住民票の費用(手数料)はどうやって払うかと言うと、ゆうちょ銀行の定額小為替を使います。

定額小為替は、郵便局の貯金窓口で買うことができます。

50円、100円、150円、200円、250円、300円、350円、400円、450円、500円、750円、1000円の12種類の定額小為替があり、1枚につき手数料が100円かかります。

戸籍謄本や住民票の費用(手数料)分の小為替を買って、申請書などと共に役所に送るのです。


以上、遠方の役所から戸籍謄本や住民票を取得する方法を解説しましたが、司法書士に相続放棄の手続を依頼すれば戸籍謄本などの収集も代行します。

郵送で戸籍等を収集するのは手間なので、司法書士に依頼してしまっても良いかと思います。


司法書士に依頼したときの流れ

司法書士に依頼すれば、役所や家庭裁判所が遠方でも郵送で手続を代行します。

概ね次の様な流れになります。

  1. 無料相談にいらしてください。
  2. 必要な戸籍謄本や住民票を司法書士が郵送で取り寄せることもできます。
  3. 相続放棄申述書を司法書士が作成しますので、署名捺印してください。
  4. 司法書士が相続放棄申述書を管轄の家庭裁判所に郵送で提出します。
  5. しばらくして家庭裁判所から照会書(回答書)が自宅に送られてきます。
  6. 照会書(回答書)の書き方をアドバイスします。照会書(回答書)は家庭裁判所に返送します。
  7. しばらくすると相続放棄申述受理通知書が送られてきます。
  8. 必要に応じて相続放棄申述受理証明書を郵送で申請します。

相続放棄の手続は司法書士へ

相続放棄は相続の開始があったことを知ってから3ヵ月以内にする必要があります。

万が一、間に合わないと借金を相続してしまうことになります。

司法書士は、面倒な戸籍の収集なども代行することができますので、心配な方はぜひご相談ください。

費用などの詳細は相続放棄の申立のページをご覧ください。

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