判断能力と相続放棄

亡くなった人(被相続人)の借金を相続したくない場合、自己のために相続の開始があったことを知ってから3カ月以内に家庭裁判所に相続放棄の申述をしなければなりません。

しかし、相続放棄をするにも判断能力がないとできません。

認知症や知的障害で判断能力がない場合は、成年後見人をつけて、成年後見人が相続放棄の申述をします。


相続放棄をするのに成年後見人などをつける必要があるのか否かは、医師の診断を仰いだ方が良いでしょう。

家庭裁判所は成年後見用の診断書の雛形をホームページ上にアップロードしています。

例えば、さいたま家庭裁判所の成年後見用の診断書ひな形はこちらです。
(東京家庭裁判所のひな形はこちら

「もの忘れ外来」、「精神科」、「神経科」、「神経内科」、「老年病内科」、「老年内科」などで、この診断書を書いてもらいましょう。

その結果、「後見相当」、「保佐相当」などにチェックがつけられている場合は、後見人や保佐人の選任を家庭裁判所に申し立てないと、相続放棄は難しいでしょう。

「補助相当」の場合は、ご本人が希望すれば補助人をつけられるという状態なので、ご本人が相続放棄について理解しているのかどうか良く確認した上で判断することになると思われます。


診断書の結果で、後見や保佐などの申立てをするわけですが、後見人や保佐人の候補者としてご家族を指定することもできます。

ただ、最終的に後見人や保佐人を誰にするか決めるのは家庭裁判所です。

ご本人の家族で意見の対立があったり、財産が多い場合は、家庭裁判所は司法書士や弁護士などを後見人に選んでしまうことがあります。

現在は6割ぐらい司法書士や弁護士が選ばれているようです。

後見人は、基本的には、ご本人が亡くなるまでずっとついています。相続放棄が終わったら辞めてもらうということはできません。

したがって、司法書士や弁護士が後見人に選ばれてしまうと、その後見人報酬が継続的に発生するということになります。

この点はご注意ください。


後見人や保佐人が選ばれたら、後見人の場合は後見人が相続放棄の手続をします。

保佐人の場合は、ご本人が相続放棄するのに保佐人が同意するという形です。

ただ、保佐人に相続放棄の代理権が与えられている場合は、保佐人が相続放棄の手続きをします。


相続放棄の熟慮期間ですが、民法917条は次のように定めています。

民法917条
相続人が未成年者又は成年被後見人であるときは、第九百十五条第一項の期間は、その法定代理人が未成年者又は成年被後見人のために相続の開始があったことを知った時から起算する。

成年後見人などが、ご本人のために相続の開始があったことを知ってから起算するとしています。

以上、認知症や知的障害で判断能力が無い場合の相続放棄手続について述べてきました。

基本的には、後見用の医師の診断書をとってみて、その結果で後見などの申立てをする。

後見人などが選ばれたら、後見人から相続放棄の手続をする(保佐人の場合は同意)という流れになります。


成年後見の申立については、後見専門サイトもご覧ください。


相続放棄の手続は司法書士へ

相続放棄は相続の開始があったことを知ってから3ヵ月以内にする必要があります。

万が一、間に合わないと借金を相続してしまうことになります。

司法書士は、面倒な戸籍の収集なども代行することができますので、心配な方はぜひご相談ください。

費用などの詳細は相続放棄の申立のページをご覧ください。

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