受益者が亡くなった場合

受益者が亡くなった場合、受託者はどの様な手続をするでしょうか?

受益者が亡くなったら信託を終了する場合と、受益者が亡くなっても信託を終了させずに受益権を承継させる場合に分けて説明します。

受益者が亡くなったら信託が終了する場合

調書の提出

受益者が亡くなったら、受託者は翌月の末日までに「信託に関する受益者別(委託者別)調書」及びその合計表を税務署に提出します。

必要に応じて税理士に依頼しましょう。

債権の取り立て・債務の弁済

信託が終了したら、受託者は信託に関する債権が残っている場合は債権の取り立てを行います。
信託に関する債務が残っている場合は、弁済を行います。
その後、残余財産の給付以外の受益債権に係る債務が残っている場合は、これを弁済します。
原則として、受託者は残余財産を帰属権利者に給付する前にこれらの債務を弁済します。

帰属権利者への給付

受託者は残った財産(残余財産)を帰属権利者に給付します。

信託契約書をみて、誰が帰属権利者か確認しましょう。

不動産が信託されているケースでは、受託者から帰属権利者に所有権移転登記をして、同時に信託の登記を抹消します。
必要に応じて司法書士に依頼しましょう。

お金が信託されているケースでは、残ったお金を帰属権利者に給付します。
帰属権利者の個人口座などに振り込むなどして給付しましょう。

最終の計算書の作成

残余財産の給付が終わったら、受託者は「最終の計算書」を作成します。「最終の計算書」の内容は次のようなものが考えられます。

  • 債権の取り立て、資産の処分などによって得た収入の額
  • 債務の弁済、清算に係る費用の支払などによる費用の額
  • 残余財産の種類、価額、分配方法、給付をした日など残余財産の給付内容

「最終の計算書」を作成したら帰属権利者に承認を求めましょう。

帰属権利者は何をする?

帰属権利者が給付を受ける残余財産は相続税の課税対象になります。

相続税申告が必要であれば申告をしてください。必要に応じて税理士に依頼しましょう。

受益者が亡くなったら受益権を承継する場合

受益者が亡くなっても信託を終了させずに新たな受益者が受益権を承継する信託では受託者は次のようなことを行います。

調書の提出

受益者が亡くなったら、受託者は翌月の末日までに「信託に関する受益者別(委託者別)調書」及びその合計表を税務署に提出します。

必要に応じて税理士に依頼しましょう。

変更登記

受益者が亡くなっても信託を終了させずに新たな受益者が受益権を取得する信託の場合、不動産を信託しているときは、不動産の登記記録(登記簿)の信託目録を変更登記する可能性があります。

信託目録の受益者の欄を新しい受益者に変更登記したり、信託の設計によっては委託者の欄も変更登記するかもしれません。

司法書士に登記が必要かどうか確認して、必要に応じて変更登記を依頼しましょう。

新しい受益者は何をする?

新しい受益者が取得した受益権は相続税の課税対象となります。

相続税の申告が必要であれば申告しましょう。

必要に応じて税理士に依頼しましょう。

受託者が亡くなった場合

受託者が亡くなった場合は、新たな受託者に信託財産を引き継ぎます。

信託契約書を見て、新たな受託者が指定されているか、または指定の方法が定められているか確認しましょう。

受託者が亡くなって受託者がいない状態が1年間続くと信託が強制的に終了となってしまいます。
速やかに新たな受託者を選任しましょう。

新たな受託者を選任した場合、不動産が信託されているときは新たな受託者に所有権移転登記をします。
必要に応じて司法書士に依頼しましょう。

信託口口座も新たな受託者に引き継ぐことになりますので、金融機関に相談してみましょう。
(なお、信託口口座を作成せずに受託者の個人口座で代用していた場合は、受託者の法定相続人全員の実印の押印と印鑑証明書がないと預金を下ろせないと思われます)


なお、受託者の判断能力が低下して信託事務ができなくなった場合、受託者に成年後見人をつけないと不動産の所有権を新たな受託者に移転登記できないかもしれません。
そのため、万が一、受託者の判断能力が低下する兆候があった場合は、低下の程度が軽いうちに新たな受託者に引き継いだ方が良いかもしれません。

信託監督人・受益者代理人が亡くなった場合

信託監督人や受益者代理人が亡くなった場合も信託契約書を見て、新たな信託監督人や受益者代理人の指定や指定の方法が定められているか確認しましょう。

不動産が信託されている場合は、不動産の登記記録(登記簿)の信託目録の信託監督人や受益者代理人の欄を変更登記するかもしれません。

司法書士に相談し、必要に応じて依頼しましょう。

次の記事:信託を終了・変更したいとき

家族信託 導入の流れ

導入の流れ 解説PDFファイル

  1. 何のために家族信託をする?
  2. 役割を担う人を考える
  3. 相続発生時の承継者を検討する
  4. 信託する財産を検討する
  5. 受託者の責任と義務を知る
  6. 信託口口座を作成する金融機関を検討する
  7. 用意する書類は何か?
  8. 信託契約公正証書を作成する
  9. 組成後に受託者が行うこと
  10. 相続が起こったら
  11. 信託を終了・変更したいとき
  12. 不動産を売るとき



導入の流れを動画で解説

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組成後に受託者が行うことを解説

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